2017年11月 6日 (月)

現状維持

第8回関東臨床工学会が開催されました。年々参加者も増えて都道府県同士の意見や情報の交換がなされ、確実にqualityが向上していると感じらるようになれました。これも山下先生始め関係者の地道な活動の積み重ねの成果だと思われます。連盟にもここ数年啓発のセッションを設けて頂いておりますが、過去最大の参加人数を賜り大変ありがたいことだと思っております。パネルディスカッション「10 年後の臨床工学技士~「今」動かないとどうなるか…?~」は、誕生から30年を迎えた臨床工学技士が、昨今の社会や医療の情勢やを背景に今後どう対応を整えて行くかについて議論が交わされました。

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冒頭、次世代を担う若者に対して「将来の夢」を質問する展開となり、いきなり振られた若者は思わず「現状維持で…」と回答され、それ以降はテーマ自体が”現状維持で良いのか?”という雰囲気に会場が変化してしまいました。(回答した若者には若干気の毒でした。)

「現状維持」は衰退。世の中には成長と衰退の2通りしかない。

ごもっとだと感じます。世の中は激しい競争社会の波に揉まれていて、時代の変化に対応できない場合、企業においても姿を消してしまわなければなりません。国際社会も同じで外資の大企業が国境を越えてどんどん攻めてきていることを、日常生活でも実感されることと思います。メガプラットフォームが世界を席巻すると言われ、GAAF(ガーフ:google、apple、amazon、facebook)と呼ばれるたった4社が、世界中の情報インフラを牛耳るかもしれないとまで言われます。日本企業の名前が見かけられないのはさみしいことだと感じます。医療介護は人手不足が心配され、その補充には低賃金の外国人労働者、それをつかさどるのはGAAFとなれば、我々の居場所が脅かされるのも時間の問題かもしれません。どうしても話は暗い方向に行ってしまいがちですが、そうで無い環境を創るには「現状維持」を否定せざるを得ません。最低でも成長した結果、現状が維持できたとしたいところです。

ディスカッションでは若者代表からの発言もありました。
「なんとか協力したいけど何が出来るのか。連盟会員に登録することくらいしか思いつかない…。」
それだけで十分です!ただより多くの賛同者が必要です。知人友人・家族や親戚まで引き連れて臨床工学技士の将来を一緒に創造して行きましょう!とは言いましたが、昨今気になったメディアを2つ。

「民衆の敵」…世の中おかしくないですか!?…

なぜスウェーデンは政治に関心がなくても投票率が80%を超えているのか?

根本的に「国民主権」をはき違えている日本人を痛感します。思いっきりざっくりとまとめると…
・何事も、他人に協力するのではなく、自分から進める。
(会費を取って何してくれるの?ではなく、会費を頂戴!私がするから。)
・ルールは守るものではなく、日々検証するもの。
(規則をただ守るだけの日本人。規則の改善を常に考えるスウェーデン人)

現状維持を打破するきっかけとなれば幸いです。

2017年11月 2日 (木)

根拠となるデータ

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連盟で行われたアンケート「今、もっとも実現したい要望をひとつだけ選んでください」に対して、103人の方に回答いただきましした。その結果はこちら

さて、これを実現するには具体的にどのような活動を行えばよいのでしょう?
「あれ欲しい!」と言っただけで買ってくれるほど親は甘くありません。財布の中身は限られていますし、その他の兄弟にも欲しがっているものは沢山あるのです。子供たちが欲しい!と要求する複数のものから財布の中身と相談し、本当に必要なものを選別して場合によっては要求を排除しなければなりません。(小池都知事、衆議院総選挙お疲れ様でした。)子供たちを納得させるには理由が必要です。理不尽や偏った買い物は家族の中で不協和音を起こしてしまいます。要求する子供からすれば、納得させられるだけの理由を親に提示しなければなりません。税金の使い道を家庭に例えてお話しました。考えてみれば当たり前のことです。国に対して、ただ“欲しい”と訴える駄々っ子では要望も受け入れては貰えません。

診療報酬を獲得するための道筋は参考資料に掲載されていますが、学術研鑽を目的としている多くの学会も実績を数値化して、報酬と言う評価につながるよう要望提出しているのが実態です。特に昨今は単なる治療効果だけでなく、医療経済との相乗効果が加味されている事が評価されるポイントのようです。蛇足ですが、この背景には人口減少と少子高齢化によって国の財政がひっ迫している状況が影響しています。新たな経済成長を生み出し、分母となる税収が増えるような状況となればまた違った展開になるのかもしれません。これがいわゆる「デフレ脱却」です。我々臨床工学技士も新たな経済を生み出す成長戦略を、医工連携などを通じて創造することが期待されます。これまで、臨床工学技士の業務を牽引してきた、人工透析(血液浄化)や人工心肺の症例数はプラトーに達し、今後下降に転じることが大方の予想です。未来を予測しそれに対応しうる準備を早めに整えておく必要があります。今まさにその転換期に足を踏み入れている状態だと感じます。

ご存じのように、国は税と社会保障の一体改革を進めており、その中で一般病床の病床数の削減を図るとともに、地域包括ケアを推進しています。誤解を恐れず言うと、ご年配の方は病院では面倒見ることができないので地域ぐるみで見守って下さい。ということです。需要の場面がシフトすれば供給側もそれに対応するのは当然であり、他の医療職能団体も様々なビジョンを掲げています。代表的なのは「特定看護師の研修制度」です。なかなか実態が伴っていないようですが、急性期から在宅まで、将来を見据えた未来志向の展開を行っていることは間違いありません。我々臨床工学技士も、今後在宅医療(遠隔医療)への展開を見据えて、昨今話題となっている医工連携を活用した方向へシフトする必要があると考えます。

要望を実現する為に満たされるべき条件として以下の3点があげられます。
1.効果が期待できる根拠となるデータが揃っていること
2.医療経済的にメリットがあること
3.導入後の恩恵が一部に偏った隔たりのないこと。
今、要望を実現したいとき、まずは1.の根拠となるデータが揃っているか?を検討し、そこから次へと展開しなければなりません。現在、日臨工の統計調査委員会とも連携を強化し、根拠となるデータ作りに注力しているところです。交渉する上において材料は必須であり、銃で戦うには銃弾が必須です。戦いに例えるのは適当ではないかもしれませんが、現在十分な実弾が整っているとは言い難い状況だと考えます。皆様の積極的なご協力をお願いします。

2017年9月29日 (金)

臨床工学技士議連創設に向けて

今回の面談の主な目的は「臨床工学技士議員連盟」創設メンバーの人選を検討することでしたが、解散総選挙が行われることになったため、選挙後に改めて機会を設ける事となりました。本題が先送りとなりましたが、面談は予定通り開催されたため、性急なお願いにも関わらず、皆様にご協力頂いた資料を元に作成した要望書が役立ちました。

特に国公立大学への養成学科新設について興味を示され、関係省庁と面談の機会を設けると提言されました。文科省内でも国公立大学再編の動きがあり、追い風を捉えることが出来る可能性があるとも言われました。その他の要望はお金にまつわることがほとんどであるため、年末に行われる税制改正の場面で要望するよう助言されました。高度医療や在宅医療、立ち合い問題や超音波診断装置の操作など多岐にわたって臨床工学技士の実態と必要性をお伝えすることができ、興味深く拝聴されておられました。

他の医療職種にも言及され、薬剤師や柔道整復師の内情や今後の展望など、大変参考になるお話を伺うことが出来ました。結局、民主主義国家である限りより多くの人が賛同する意見を優先するのは当然の事であり、政治家としてもより多くの人からの要望を受け止め、それを推し進めることが使命であるとの事でした。

すなわち、「まとまりが全て。」

内部分裂や組織率の低下が足かせにならぬよう足元をしっかり固めて一体感を形成するようアドバイスを頂きました。また、臨床工学技士の対業務従事者の組織率が高いことを評価されていました。解散総選挙で先行き不透明な部分はありますが、一歩前進したと考えてえて良いと思います。

当然、今回の選挙対応も重要になってきますので、各位で情報を収集し準備を整えて下さるようよろしくお願いいたします。

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2017年9月 8日 (金)

概算要求

来年度の概算要求が政府より発表されました。

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一般会計の総額は4年連続で100兆円の大台を突破し、要求額が最も大きかったのは厚生労働省で、高齢化で医療や介護、それに年金などに充てる「社会保障費」が一段と膨らむことから、今年度の当初予算を2.4%上回る31兆4298億円を要求しました。と掲載されています。国家予算の約3割を我々と関係の深い厚生労働省が占めている計算となります。厚労省の予算概算要求のポイントで我々に主に関連する部分は2番目の「質の高い効率的な保健・医療・介護の提供の推進」となります。 また、記事にもあるように北朝鮮問題を背景に防衛相の予算要求が増えていることも注目すべき点です。各省庁からの要求額は財務省のホームページに一覧として掲載されています。

これらの要求額に対してそれを満たすための収入はどこから発生するのでしょうか?同じく財務省の資料を見てみると、6割が税収、3割がいわゆる国の借金と言われる国債で賄われています。つまり、収入の大部分は国民から徴収する税金ということになり、私たちが労働をした稼ぎの一部で公的扶助を中心に国民の生活を支えていることになります。すなわち、しっかり労働して生産力向上をすれば、稼ぎが増えるとともに税収も増えることになり、国も国民もウィンウィンの関係を築くことが見えてきます。その国全体の生産力を示す指標がGDPです。こちらの図では日本がバブルがはじけた頃から、GDPの伸びが著しく鈍化していることが解ります。
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これが、巷で言われるデフレの正体です。

国をあげてデフレ脱却を目指し、様々な政策が試みられていますが、未だ出口は見えません。少子高齢化が足かせになっている事は否めませんが、ではどうすれば解決の道が開けるのか?政治家の政策を批判するのは簡単ですが、豊かで安心できる未来への方策は極めて困難なことであり、一人一人が真剣に取り組まなくてはならないと思います。不倫報道などのスキャンダルで賑わっている場合ではないと思うのですが如何でしょうか?

概算要求から来年の年度末までに予算成立へ向けて、国会では激しい?論戦が行われます。言い方は不適切かもしれませんが、各省庁による同じパイの奪い合いです。約100兆円の予算からあらゆる資料と根拠を駆使して、各々の要求を獲得するために奮闘します。こうして考えると大変不謹慎ですが、イベントで開催される試合にも思えてきます。違う角度から見てみますと、「政治とは私たちが国家や社会について重要と考えるものを、優先順位をつけて決定すること」と、総務省の”高校生向け副教材「私たちが拓く日本の未来」について”にも明確に記載してあります。

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やはり、集めた税金の使い道を決めるところが、国会と言っても過言ではなさそうです。

さて、いつものように前述の観点から臨床工学技士のことを考えてみましょう。国民皆保険が基本的ベースとなっている医療・介護において、その環境下で業務を行う臨床工学技士の費用や報酬は国家予算の中で賄われることになります。全体の3割を占める厚労省の歳出、その中の社会保障、その中の医療・介護、さらに医療の中の医師の手技料、看護師の看護必要度など、どんどんミクロ的に考えていくと最終的には個人レベルに到達することが理解できると思います。「同じパイの奪い合い」は当然ここでも発生しており、同じ医療職の職能団体だから国民の医療や安全に貢献しているからと、温情を受けられるほど甘くはありません。きれいごとではなく、どこの団体も自身を守るために様々な努力をしているのです。

バブル崩壊後のGDPが伸び悩む中で少子高齢化が進み、税と社会保障の一体改革が政策として施される現状において、来年は医療と介護の同時改定が行われ(通称30改定)、どのように配分が行われるか大きく注目されます。他団体が前向きに取り組みを進める中で、臨床工学技士にもまとまった力が必要です。今一度自身を振り返って起こすべき行動について検討されることを望みます。

2017年6月28日 (水)

加計学園問題に思う臨床工学技士の需給予測

不誠実、隠ぺい、権力の横行と反応する人も居れば、政権批判の材料として過剰に煽っているだけ、とシラケている人も居ます。価値観の違いをうまく整えるのは民主主義政治にとって、最大の難関課題というべきでしょうか。この話題に踏み込むのは炎上誘発などのリスクを伴いますので差し控えますが、この問題を臨床工学技士に置き換えて考えてみたいと思います。

獣医師は52年間に渡って養成校を増やして来なかったことは周知の事実です。「既得権益」がキーワードとなっていますが、なぜ既得権益となるのか?増やし過ぎると過当競争が激化した結果収入減につながるからと、一部の報道では語られています。これは、人獣共通感染症の防止に務めるいわゆる公務員獣医師ではなく、小動物を扱うペットショップなどを対象とした発想だと思われます。ここで忘れてはならないのは、ペットショップは「自由診療」であることです。自由診療であるからこそ過当競争が発生し、品質の向上や価格の低下など、消費者としては恩恵を受ける結果となります。

この事実について是非を語るつもりはありませんが、「会員の職業と生活を守る」ことが職能団体の目的である以上、獣医師会はその責任をしっかり果たしていると言えるのではないでしょうか。以下、日本獣医師会のホームページをからの引用です。
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(1)2040年の需給見通し
ア 現状値推計においては、ほぼ全体需給は均衡する。
イ 犬・猫の診療回数が10%から20%伸びる場合、1,600人から3,500人程度獣医師が不足する。
ウ 一方、犬・猫の診療の効率化を勘案した場合、
①診療回数が現状値で推移した場合、1,000人から1,300人程度獣医師が過剰となる。
②犬・猫の診療回数が伸びる場合、10%の伸びで需給は均衡するが、20%の伸びで1,900人程度獣医師が不足する。
エ 産業動物診療獣医師の不足が発生する。また、畜産分野、公衆衛生分野の公務員獣医師の確保が困難化する。
(2)今後の取り組み
ア 獣医師の活動分野間、地域間の偏在の是正は、今後検討する基本方針の策定に反映されるべき
イ 今後の情勢によって獣医師の需給は変化する。今後とも需給見通しの策定を行い、需給の動向を慎重に見極める必要がある。
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一方、臨床工学技士に関わる費用は自由診療ではありません。費用の大部分は政府の負担、即ち国民から徴収した税金から支払われています。親方日の丸だから安心!などと言ってはいられません。当然のことですが政府の歳出は限りがあり、その中で様々な問題解決と要望に応える必要があります。いわゆるパイの奪い合いなのです。臨床工学技士の診療報酬が僅かしか与えて頂けていない現状は、評価が与えられていないことに他なりません。繰り返します。一生懸命仕事をしているのに対価として評価されていないのです。

本題はその事ではなく、需要と供給のバランスについてです。臨床工学技士免許の取得者数は平成28年末で41533名、養成校は現在79校あります。圧倒的に血液浄化関連で業務を行う臨床工学技士ですが、以前にも述べたように今後透析患者さんは減少に転じることが明らかな状況で、このまま資格取得者が増え続けて需給バランスは整うのでしょうか。
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今後、臨床工学技士供給体制を継続して拡大するには、それに見合った需要の拡大を図る以外手はありません。医師や看護師不足を補う手術室や集中治療室、在宅医療、発展途上国への海外などへ展開を図るべきと考えますが、まずはそれに見合った”質”を確保することが必要です。現在はまさに大きな転換期の入口と考えられ、早急に質の向上を整備すべきと考えます。

質の向上と共にすべきことがあります。それは臨床工学技士の需要と供給の実態と将来予測です。供給体制についてはある程度整っていますが、需要については明示できるものが存在しません。先に述べた展開分野などを鑑み、将来の需給見通しを策定する必要があると、加計問題の本質とは異なる論点を感じた次第です。

2017年1月 4日 (水)

年頭所感2017

新年あけましておめでとうございます。家族団らんで穏やかな年越しを迎えられたこととお喜び申し上げます。

いきなりで恐縮ですが、政治の命題とはなんでしょう?極めて端的に言うと「国民の命と生活を守ること」だと思います。マスコミの報道やネットの書き込み、相手の上げ足を取り批判ばかりを繰り返す国会の議論を見ていると惑わされる場合がありますが、根本的な本質はそうでなければなりません。社会保障や少子化対策、外交や安全保障、経済対策や税制改革等々、すべて根本を改めて見直した時、国民の意見を代弁する代議士(国会議員)が、「国民の命と生活を守ること」に向かって邁進しているのか?それを見極める眼力が国民には必要だと感じます。また、国民はその働きから逸脱している人を裁く権利を有しています。なぜなら彼らを選んだのは国民一人一人ですし、彼らの報酬は国民の税金から支払われているからです。すなわち、税金は「国民の命と生活を守る」為に支払っていることになります。

このことを踏まえたうえで、職能団体に目を向けてみましょう。職能団体の目的は自らの「専門職を守り育てる事」。命とまでは言わないにしても、役割はまさに国家と同等で、職能団体である臨床工学技士会や連盟は臨床工学技士を守り育てるために活動する組織です。そして、その為に我々は会費を支払っています。すなわち、会費は「臨床工学技士の職域と生活を守る」為に支払っていることになるのです。

日臨工及び都道府県技士会の皆様のご配慮を賜り、昨年は全国行脚をさせて頂きました。これまでに宮崎、広島、三重、愛媛、熊本、鹿児島、高知、島根、佐賀、埼玉、群馬、秋田、東京、山形、山梨、長崎、加えて全国各ブロックの地区臨床工学技士会。しかし、お話しする機会を頂けても聴講して下さる方はほとんど居ないか、居ても既に連盟活動を理解されている方でした。例え聴講して下さっても、お話に反応して入会に協力して下さる方は参加者に対しほんの数人です。いままでの活動によって得られた連盟会員数は約1200名ですが、日臨工会員数の約18000名に対しわずか6%程度です、しかも、入金手続きが滞って退会処理を余儀なくされる方が200名以上いらっしゃいます。これが臨床工学技士の職能団体に対する意識の実態です。ただその中でも真摯に活動をご理解頂いて、積極的にご協力下さる方もいらっしゃいます。一部の方たちであっても、そのお気持ちを裏切ることのないよう、目に見える成果としてお返しするため今年度も活動を強化して参ります。

少子高齢化を背景に税と社会保障の一体改革は待ったなしの状況であることは国民のだれもが周知しています。医療・介護は医師や看護師だけでなく我々臨床工学技士を含めた医療技術専門職にも直撃する話題です。一般病棟の病床数の削減や透析患者数の減少などを考慮し、多くの増加は見込めない税収の範囲内で、国民の命と生活を守る政策が次々と行われることは容易に想像できます。他の医療職能団体は昨年度の参議院選挙の結果が示す通り、積極的に国政へ参加し自らの職種を守るべく努力を重ねています。臨床工学技士が今の意識のままでは、今後ドラスティックに変化する医療業界からおそらく置いてきぼりになるでしょう。

皆様のお陰で連盟創設から過去3年間で多くの国会議員の方々と接点を持つ事ができました。僅かな運転資金の中で組織強化と並行して渉外活動も行って参りました。その結果、自民党や公明党から「予算税制に関する懇談会」にもお声掛け頂けるようになりました。今後は「臨床工学技士について考える議員連盟」の設立に向けて目標を掲げているところです。その実現に向けて活動を行うのは我々であったとしても、本当に重要なのは臨床工学技士一人一人の意識です。「一致団結」という言葉は若干抵抗を感じますので、「一体感」という言葉に置き換えて臨床工学技士の未来を創造したいと考えております。何卒連盟活動にご理解頂きご協力を賜りたくお願い申し上げ、2017年の年頭所感とさせていただきます。

本年2017年は酉年。「幸せ酉(とり)こむ」という意味を込めて各地で酉の市が開催され、熊手が飛ぶように売れるとお聞きしました。平和と健康を願う気持ちは老若男女、万国共通の願いです。会員の皆様方が幸せを酉こみ幸多き一年となります事心から祈念しております。

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写真は浅草酉の市

2016年11月22日 (火)

公明党厚生労働委員会 平成29年予算税制に関する要望

本日はこのような機会を与えて頂き誠にありがとうございます。我々臨床工学技士は医師の指示の元生命維持管理装置の操作、及び保守点検を業とする国家資格として1987年に誕生しました。桝屋先生はじめ公明党の先生方には、2002年の公益法人制度改革という逆風の中での法人創設、前々回の診療報酬改定においてと特定集中治療管加算の施設基準に臨床工学技士を明記して頂くなど、多大なご尽力を賜りこの場をお借りして心より御礼申し上げます。

昨今、医療現場において医療機器は無くてはならない存在となっております。手術室や集中治療室など使用される高度で複雑な装置だけでなく、介護や在宅の場面においても血液の酸素飽和度を測定する簡易的な測定器から、在宅人工呼吸器など生命に直結するものまで幅広く浸透しています。しかし、その医療現場において、医工学の専門知識を学んだ臨床工学技士が十分に生かされていません。医療機器産業ビジョンや地域包括ケアなど、医療経済においても少子高齢化社会の場面においても、臨床工学技士を十分にお役立ていただくため本日お願いに上がりました。 

我々は臨床工学技士を国民医療にしっかりと活かしていただくため、質の向上、数の確保、意欲の担保という3つの目標を掲げています。まず、一つめの「臨床工学技士を活用した医療の質の向上」についてお話しします。

現在活躍している他の医療職種と比べ比較的新しい臨床工学技士ですが、国家資格でありながら国公立大学に養成校が一つもありません。国から学費の補助があって負担の少ない教育機関に優秀な人材が流れていくことは必然であり、臨床工学に志を持っている人材がそれを理由に断念する事例が散見されています。(実は私の息子もそうでした。)品質の高い日本の医療と、同じく日本の得意技である“ものづくり”を融合した医工学の分野は、地方創生の手段として全国各地で注目されている成長株です。世界に羽ばたく優秀な臨床工学技士を育成するため、国公立大学へ養成校の設立を要望させていただきます。

次に医療機関や在宅で使用される医療機器の実態把握を掲げておりますが、実は昨今の医療現場においても、メーカーや業者による労務の無償提供という悪しき習慣が、医療機関ではまだまだ蔓延っています。手術や治療に関わる医療機器の無償貸し出しと引き換えに労務の提供を行い、下手をするとそれが医療行為にまで及びます。明らかな医療法の抵触であり、装置や消耗品売買の癒着の温床となりえるケースもあります。また、在宅医療機器に関しては在宅指導管理料の診療報酬が医療機関に付与されているにもかかわらず、患者が一旦在宅に戻されると、業者に丸投げの状態になっています。保守点検などの安全管理も業者にゆだねているのが現状です。さらに、在宅で使用する医療機器の中でも、生命維持管理装置でありながら構造的な災害対策が取られていません。これらを是正する対策をとるためには、まずは現在の実態把握を行う必要があるため、在宅で称される医療機器の実態把握に関する支援制度の設置を要望します。 

二つめは「ニーズに応じた臨床工学技士の数の確保」です。臨床工学技士は保助看法の一部を分け与えた貰った経緯から、看護師が行う血圧・脈拍などのバイタルチェックや簡単な介助など直接患者に触れる医療行為が可能です。その業務範囲を行う中で、手術室においてはダヴィンチに代表される高度複雑な専門性の高い装置だけでなく、内視鏡手術装置や各種モニタリング装置など多種多様な医療機器が存在し、まさに現場は機器だらけです。このような状況下で医師は手術に集中し看護師はケアに集中する環境を整える為に、患者と装置とを包括的に支援できる臨床工学技士が最も有用な存在となります。機器にトラブルはつきものであり、万一の際にも速やかな回復図るために大いに貢献します。機器のトラブルに対する速やかな回復は、介護や在宅の現場でも同様で、医師不足、看護師不足を補うと同時に医療安全の確保に対しても需要が拡大しているのが現状です。

別紙1に在宅医療の体制構築に関する指針の資料がございます。きめ細かく配慮がなさておりますが、機器トラブルに対する安全対策が抜け落ちているように感じられます。別紙2に示す通り、平成276月には遠隔モニタリングの推進として、規制改革に関する第3次答申が閣議決定されておりますが、心臓ペースメーカーや在宅呼吸療法はまさに臨床工学技士の十八番であり、患者と装置の両方をサポートできる臨床工学技士は実に有用な存在であると考えます。海外に目を向けてみますと、先日当会の会員がJICAに訪れた際、日本製の高度医療機器が使用されないままゴロゴロと放置されている現状を目の当たりにしたそうです。その理由は保守管理者がいないことです。我々から見れば実に簡単なフィルター交換や、少し踏み込めば行える機器の設定が行われていないため、折角の日本の優秀な医療機器が無駄になっているのです。ご存知の通りアジアでの市場は大きく、医療機器分野はまだまだ成長の伸び代を持っており、我々臨床工学技士は政府の成長戦略でもお役にたてると意気込んでいます。また、第4次産業革命が進展する未来において、AIと呼ばれる人工知能が進化する時代となっても、メンテがなくなることはあり得ません。

人工透析患者30万人以上、全国4000以上の透析施設においても臨床工学技士の施設基準は未だに設定されておりません。是非とも臨床工学技士の需給計画及び人員配置基準に関する検討会の設置、医療介護総合確保促進法と医療機器産業ビジョンでの臨床工学技士の活用をご検討いただきますようよろしくお願い申し上げます。


 最後に「未来へ継承する臨床工学技士の意欲の担保」についてです。なんといっても評価が無ければ人の意欲は増しません。別紙3に人事院勧告の医療職棒給表、階級別職務表を示します。この一覧表に臨床工学技士の名称が明記されておりません。そのことがきっかけで、国公立病院に係わらず、これを参照する一般病院にも影響を及ぼしており、いわゆる冷や飯を食わされる状況が散見されています。厳しい財政であることは重々承知しておりますが、少なくとも同じ教育単位を消化して取得した国家資格とは同等に扱って頂くようお願い申し上げます。別紙4に臨床工学技士に付与された臨床報酬の一覧を示しますが、他の医療職種に比べ圧倒的に少ない現状です。しかもすべて主項目に付随した加算という対象であり、臨床工学技士自身の業務に対して付与されたものはありません。実は先日の熊本地震で公的病院が崩壊したことにより、職員を解雇せざるを得ない状況が発生しております。診療報酬の手薄な臨床工学技士がその対象となり、現在は友人の紹介による他の病院で、嘱託として勤務している状況となっています。

 以上、来年で国家資格誕生30年目を迎える臨床工学技士からのお願いを述べさせていただきました。質の向上、数の確保、そして意欲の担保、国が必要と定めた国家資格である臨床工学技士の育成と環境整備に、ご高配賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

2016年10月 8日 (土)

野田毅先生のご講演

第11回九州臨床工学会において野田毅自民党税制調査会最高顧問のお話を賜りました。野田先生は昭和47年の初当選以来、衆議院議員として当選15回を数え、40年の歳月を重ねる業界のレジェンドです。前日の意見交換会でもご挨拶を賜り、さぞかしお堅い空気が漂うのかと思いきや、実に気さくに接して下さって若い会員にも気軽にお声掛けをされていました。

もちろん?臨床工学技士の事はこの機会を頂くまではご存じなく、お話の中で「誕生して25年?今まで何やってたの?」と率直な感想を述べられました。懇談会での印象的なお話は、「政治とは”人つなぎ”であり、多くの人が賛同する意見を議論の場へ届けるのが役割である。一部マスコミでは私利私欲と報道されてしまうが、それがより多くの人の総意である場合、”人繋ぎ”が役割である以上当然の事である。掻い摘んだ情報だけを鵜呑みにして、選挙にも行かず批判するのは主権者である国民の本質を疑う」と言われたことです。

「国民主権」そもそも、この国の主人公は国民一人一人である。中学生以上なら誰でも知っているこんな基本的なことを、日常的に意識している人がどのくらい居るのでしょう?考えさせられるお言葉でした。

また、「要望があるのなら、訴えるだけの根拠となる資料を揃えなさい。ただお願いしますと言うだけでは説得力はない。他の国会議員や役人が”なるほど”と納得するだけの資料がないと前には進まない」とも仰いました。

特定集中治療室管理料の施設基準に”専任の臨床工学技士の院内勤務”が記述されたのは、記憶に新しいですが、まさにこの事例をサンプルとして他の事案も進めていかなければならないと感じた次第です。給与、診療報酬、配置人員、業務指針、教育養成、在宅医療等々課題は山積みであり、それぞれにおいて実態調査や改善計画を立案して、受け取る側が納得する資料作りが重要だと感じました。この辺りは公益社団法人日本臨床工学技士会との密な連携が必須となってきます。

当日の本公演では300人以上の参加者を前に力強く日本の将来についてお話しされました。これから訪れる少子高齢化社会では医工学の連携は非常に重要であり、政府の成長戦略としても取り上げられている。臨床工学技士の活躍を大いに期待すると締めくくられました。

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講演される野田毅代議士

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山田大会長とツーショット

2016年9月13日 (火)

議員会館訪問

日臨工の出張に合わせ小林副理事長と議員会館を訪問してきました。
中西けんじ議員:神奈川選挙区で支援し当選されました。臨床工学技士の処遇改善について訴え、

人事院勧告の昇格の基準に臨床工学技士の名称がないこと
http://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/roudou-nenpou2013/03.html
や厚労省の医療職俸給表(二)級別標準職務表に臨床工学技士の名称がないことなどをお伝えしました。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S44/S44F04509008.html
また経済がご専門との事でしたので、医工連携や医療機器産業ヴィジョンに臨床工学技士を役立てて頂くようお願いしました。さらに、懇話会設立の際にはメンバーとしてご協力いただくことを確認頂きました。
大家敏志議員:懸案になっている自民党内に「臨床工学技士について考える懇話会」の設立についてお願いしてきました。前向きに検討してくださっているようで近日中にプランの提示が実現するよう努力頂けるとお返事いただきました。
桝屋敬語議員:消費税に延期に伴い予算編成が大変厳しいことをお話しされました。その中で超高齢化社会に伴い医療費抑制の手段として、過度な延命治療を敬遠する可能性があることに言及されました。臨床工学技士会の創設に深くかかわっておられることから、責任を感じているので何とか役に立ちたいと力強いお言葉を頂きました。何か政策の提示がないと動けないと仰いましたので、透析施設における臨床工学技士の法廷人員の設置、在宅医療機器に関わる臨床工学技士の適正配置などをお願いしてきました。

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中西けんじ議員と記念撮影

2016年7月16日 (土)

10年後の臨床工学技士を想像する。

「少子高齢化社会」 この言葉を知らない人はいない。

社会構造や人口構成の変化で漠然と将来に不安を抱えている人も多い。2025年問題とは、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、人類が経験したことのない『超・超高齢社会』を迎えることである。国(政府)の最も重要な使命は国民の命と健康を守ることであり、経済成長が伸び悩む中で社会福祉との両立を達成する極めて困難な課題に取り組んでいる。これがいわゆる「税と社会保障の一体改革」である。医療や介護は渦中のど真ん中にあたり、主に税金で賄われるこの問題は、医療従事者にとって目を背けることのできない重要な課題である。政府は介護保険の施行に始まり、DPC(診療報酬の包括化)やジェネリック医薬品の推進、入院基本料の改定や病床数の削減、そして在宅医療の普及を目指した地域包括ケアを推進しており、我々臨床工学技士にとっても現在就業している一般病棟や手術室、クリニックなどの環境が大きく変化することが想定される。

このような取り組みを行う政府は臨床工学技士の事をどのくらい知っているのであろうか。生命維持管理装置など高度医療機器の操作や保守点検を行い、医師の手助けを行い医療安全に貢献していることを知っているであろうか。地域包括ケアを推進する上において医療機器が不可欠であり、工学的専門技術を学んだ技術者の存在が必要であることを知っているであろうか。経済成長を促すために品質の高い日本の医療を海外へパッケージで輸出する、医療機器産業ビジョンの力になれることを知っているであろうか。政策を決定する機関である政府が存在すら知らない状態では改善の期待はできない。

先般、その政策を議論するための代弁者を選出する参議院選挙が行われた。医師、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師の各候補者は代弁者を選出することに成功した。診療放射線技士と臨床工学技士は失敗した。得票数の解離は著しく、この結果は脆弱な組織力と危機意識の欠如と言わざるを得ない。

現在課題となっている人口減少や少子高齢化社会は一朝一夕で成立するものではなく、高度経済成長期から少子高齢化社会を危惧する声は聞かれていた。政府が掲げた様々な政策は先延ばしされたものが多く、なるべくして現在の状況になったとも言えなくはない。現在の臨床工学技士の年齢構成は日本の高度経済成長期の人口年齢構成にとても似ている。同じ道を歩まないことを希望する。

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