公認、推薦、自主投票

統一地方選挙のさなかですが、選挙になるとよく耳にする公認や推薦について皆さん理解されていますか?自身の備忘録も含めて簡単に整理してみたいと思います。

「公認」は総務相に認められた政治団体の党員であることが条件です。政治団体(政党)は所属する国会議員が5人以上か、一番近い国政選挙で2%以上の票を得ていることが必要です。つまり国の認めた政治団体の一員であってその党がお墨付きを与えた候補者です。政党が発行した所属党派証明書を添えて選挙管理委員会に立候補を届け出れば公認候補となります。

でも有権者からすれば自民党から公認を貰っているからと言って、それが直接投票行動につながるかと言えば疑問です。何となく党が公認しているから信用できる人かなーくらいな印象ではないですか?一方、立候補される候補者にとって例えば自民党から後任を貰えるか否かは大変な重みであるように感じます。とは言え公認されなくても当選する候補者は居ますし、当選した後に公認されるという離れ業も散見されます。その疑問は党員票にあります。

一昨年自民党は120万党員確保へ強権発動し、党員獲得のノルマ未達議員は名前を公表、ノルマ未達の場合は不足党員1人につき2千円の罰金まで課すという荒業に出ました。リンク先に示すように昨今の党員数減少 に歯止めをかけたかった狙いがあります。
https://www.sankei.com/politics/news/170627/plt1706270002-n1.html

勘の良い方はお気づきでしょうが、この票が党によって候補者の選挙区に割り当てられるのです。当該選挙の対象でない国会議員は、党によってその選挙区で公認した候補者の担当として割り振られ、実力のある国会議員や著名な国会議員が自分の担当になってくれると、候補者にとっては非常に有り難いという話になります。要するに組織票ですね。

「推薦」その政党と理念や政策が近しい候補者に与えられるものなので、党派を超えて出されることも多々あります。党が推薦した場合も組織票が動くので、公認との大きな違いは自身の党(団体)に所属しない候補者にも出せるところでしょうか。当連盟にも選挙時には多数推薦依頼が届きます。経験の浅い団体では推薦状を出すことに重圧を感じて躊躇うこともありますが、自身の団体の組織票をどう動かすかなのでそこまでビビる必要はありません。ただ、四方八方推薦状を乱発すると先方に信用がなくなって、当選した後も良好とならないことは言うまでもありません。

「自主投票」について調べると、選挙において、政党や圧力団体などが公認・推薦・支援する候補者を特に定めず、構成員が自主的に判断して投票すること。とあります。政党や団体として方針を決めかねる時に使われるようです。

しかし、そもそも国民主権である我が国は個人個人が自分の意思で一票を投じるもの。トップダウンで指令が下されること自体???と感じるのは私だけ?もっと言えば、指令が下ったとしても皆素直に言うこと聞くの?事実上常時自主投票なんじゃないの?ただ、選挙結果をみると組織票が影響しているのは明らかで、大部分の党員(組織員)は上層部方針に従って投票している実態が伺えます。“まとまらなければ力にならない。まとまりすぎると暴走が怖い”人類の永遠の課題かもしれません。

たった二人の夫婦ですらまとまるのは至難の業。妥協と忍耐が継続の秘訣だと思います。あ…夫婦の話ですよ。(笑)

https://ce-renmei.gr.jp/PDF/column_No3.pdf

2019年3月10日 (日)

「臨床工学技士の資質向上を求める議連設立報告会(野田毅先生を囲む会)」

掲題の報告会が3月2日野田毅先生のお膝元である熊本県医師会館で行われました。当初は参加者数が心配されておりましたが、結果的には150名を超える盛大な会合となり、主催者側としてはホッと胸を撫で下ろしたところです。講演に先立ち、私の方からここに至るまでの概要をご説明させていただきました。改めて振り返りますと、自前の国会議員も存在せず国家資格取得者数も4万人そこそこ、就業者数は約その半分、連盟会員に至ってはさらにその7%台と、こんな状況でよく議員連盟が設立されたものだと我が事ながら感心してしまいます。合わせて山田会長はじめ熊本県の技士会員の皆様による、影ながらの努力が実を結んだものと心から感謝申し上げます。
野田先生からは税制調査会の最高顧問のお立場もあって、主に税と社会保障に関する諸問題とその対策から消費税に関わるお話、高齢化社会に伴う医療費抑制とそこに従事する臨床工学技士への期待、さらには昨今話題となっている韓国との諸問題と歴史的背景などを幅広く解説され、若い人も多数参加されていましたが居眠りをする人は殆んど見受けられませんでした。

 

年頭所感で申し上げたように、31年目を迎えた臨床工学技士は間違いなく曲がり角に差し掛かっており、リニューアルを模索する時期に来ていると感じます。そこへ降って湧いたように出現した話題が働き方改革で、その最も大きな目玉は時間外労働の上限設定です。年間2000時間を超える時間外労働を行っている医師が、全体の1割を超える2万人以上居るとされ、上限を超える時間外労働を行った場合には罰則規定まで設けられたことから、待ったなしの対策が求められているのです。

 

臨床工学技士は医療機器を介する“治療”に関して言えば、医師の最も近い位置に居る存在であると思われ、高度専門的な技術や知識に関しても、医師のサポート役として相応しい存在になれると思っております。千載一遇とも言えるこの業務拡大の機会を逃さないよう、会員一人一人の意識強化とご協力を強くお願いする次第です。

 

野田先生には第2部の懇親会にもご参加頂きました。マスコットキャラクターのシープリンを手にされ、にっこりと笑顔で写真撮影に応じて下さいました。

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元祖ゆるきゃらの“くまもん”には敵いませんが、それに匹敵する山田熊本技士会長の背後霊で許してください。感謝の気持ちを形にしたいと本イベントを企画した山田会長は、1部も2部も司会進行役を務められ大活躍。聞けばシナリオを練られて、数日間眠れない夜を過ごされたとか…。その割には顔の色つやがとっても良いですね?若さでしょうか、気力でしょうか。今後も熊本県からぐいぐいと全国を引っ張って下さる活躍を期待しております。2021年は熊本県で日本臨床工学会が開催される予定となっていますが、その時には良い成果物を引っ提げてこのようなイベントを再現したいものですね。

 

2019年1月31日 (木)

医師の働き方改革に伴うタスクシフティングとCE

そもそも、なぜ働き改革が必要なのか?方策を検討する議論は進んでいるが、その理由について公にはなっていないように思う。真実は不明であるが、どうやらその根幹は少子高齢化社会にあるようだ。2014年12月の12784万人をピークに人口減となった我が国は、高齢化比率の高まりも伴って、生産年齢人口が減少している。“モノ”を基準に幸福が評価できるのか?という疑問はさておき、資本主義社会が席巻する現在では国民総生産(GDP)が豊かさの指標とされるきらいがある。人間の欲望を満たすモノやサービスを、いかに多くしかも効率的に作ることができるかで、優れた国がどうかを評価され、そういう意味においては、昨今の我が国は決して良い評価どされていないであろう。

話を戻すと、人口減によって今後さらに労働力不足が懸念され、国際競争力に後れを取ることが予想される将来のために、政府が考え出した苦肉の策が女子力と壮年力、そして外国人労働者である。あの手この手で(本気でやったかどうかは置いといて…)少子化対策を講じても出生数は伸び悩み、先に述べたようなところに頼らざるを得ないところが本音であろう。事実、外国人労働者の数は日常生活でも実感として感じられ、入管法の改正は記憶に新しいところで、今後益々外国人の労働者の姿を目にする機会は増えると思われる。

そこで、働き方改革となる。戦後の高度経済成長時代には、男は仕事、女は家庭とある程度の役割分担が成立しており、極端な話仕事だけしておけば良いスタイルの男にとって、多少の長時間労働や時間外勤務に耐えうるだけの周囲のサポート体制が整っていたと考えられる。(あくまで私見ではあるが…)しかし、夫婦共働きとなるとそうはいかない。生産性向上に女子力を必要とする政府にとって、女子でも耐えうることができる労働環境を整える必要性が出てきた。さらに、語弊が無ければ怠け者と言われる外国人にとっては、24時間戦えますかなどと言う日本人の文化には耐え難いものがあるらしく、そこそこの世界標準に労働時間を合わせる必要がでてきたのだと言われている。

確かに日本の医師の労働時間は異常であると言わざるを得ない。当直ひとつとっても翌日普通に勤務している例はざらで、安全面から捉えても航空機のパイロットでは、集中力の欠如としてあり得ない話だそうだ。人の命を預かるという意味では同じなのに。厚生労働省の検討会では時間外の上限を2000時間とする案で議論されているが、この数字を日常生活に当てはめて考えると、かなりの重労働であることがわかる。そのような時代背景の大きな潮流に乗って、医師のタスクシフトが注目されているのである。従前までのチーム医療の充実とは、根本的に原点と発想が異なるのである。

さて、臨床工学技士はこの時代変化を漫然と眺めていて良いのであろうか?検査、薬剤、放射線など様々な医療専門職があるが、患者を目の前にして治療の最前線で医師の補助業務を行っている最も近い位置に居るのは臨床工学技士ではないのであろうか。集中治療室や手術室で高度複雑な医療機器の保守管理を担いつつ、医師や看護師の業務負担軽減に貢献できる立ち位置に居るのではないであろうか。在宅医療が拡大する中で通信技術を用いた遠隔医療技術を取り入れ、安定した環境を整備すると同時に、患者の一般状態も観察し医師に伝達できる能力を備えているのではないか。

ただ、「やりたい!」と宣言するだけで、実施できるほど世の中甘くない。それに相応する実力が必要であり、技術と知識さらには実績と信頼が伴わなければならない。時代の潮流に上手く乗るなら、先行して運用されつつある特定看護師制度を見習い、我々も制度設計を行って、実力と実績を積み上げる時期である。この思いは一部の人間がいくら熱くなっても屁のツッパリである。大義名分ではなく本当の意味での社会貢献と自らの存在意義の評価が得られる絶好のチャンスに来ている。これを逃すと臨床工学技士の未来は期待できない。より多くの臨床工学技士が“その気”になってくれることを強く願う。


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2019年1月15日 (火)

年頭所感2019

あけましておめでとうございます。改めて初春のお慶びを申し上げます。

国際的には北朝鮮問題に歴史的な動きがあったものの進展には至らず、挑発的な行為が差控えられているだけマシな状況と言えるのか、どんな関係でも相手が居ると両者が思い通りの見解に落ち着くのは相当な困難を要するようです。昨年末に勃発した米中貿易戦争の潮流は、世界の覇権国の争いや情報を盗む行為の抑制と言う目的だけでなく、テクノロジーの進化によるグローバリズムが過剰な進行を及ぼし、長い間積み上げてきた各国の歴史と文化、地域交流などを壊しかねない空気を感じた警戒感の現われとも言われています。欧州各国でも英国のブレグジットや独国の難民問題なども同様で、異国文化や異国思想の流入とうまく融合することが出来ない嫌悪感からこのような流れになっていると分析される論説もあります。一方、本邦では入管法が改正され今後外国人の受入れが拡大することが予想されています。この背景にはまたしても少子高齢化と人口減があり、拡大する社会保障費を補うための経済活動を支えるために、外国人の労働力に頼らざるを得ない事情があり、島国日本として育てられた独特の個性と価値観を持った国民性の転換期となる可能性があります。

また、昨年ほど実生活にテクノロジーの進化を肌で感じた年は、過去に無かったのではないでしょうか?仮想通貨流出問題に始まり、LINE-PAYやPAY-PAYなど紙幣を用いない金品のやり取りが目立ちようになりましたし、新年早々ZOZOTOWNの100名100万円プレゼントの話題は世間を驚かせました。自動化やAIという言葉を耳にしない日は少なく、珍しく高視聴率を獲得した「下町ロケット」も、日本人好みの懐かしい雰囲気を演出しつつも、内容は農業の自動化という現代のトレンドを捉えた内容となっていました。この先の未来は予測不可能ですが、間違いなく我々自身が刻んでいくものでもあります。日々を流されるままに過ごすのではなく、ある程度未来を予測してそのための準備を整える必要があります。「ボーっと生きてんじゃねぇよ!」というチコちゃんのフレーズは、昨年の流行語大賞にノミネートされました。勤勉で忠実な日本人は規則をしっかり守るまじめな国民性がある一方で、能動的に自ら規則を創り出す行動には控えめな気がします。未来を自ら積極的に創造する行動を、即ち政治への参加を僭越ながら願う次第です。

2018年は当連盟にとっても大きな前進を遂げた年になりました。5月24日に設立された「臨床工学技士の資質向上を求める議員連盟」は歴史的な出来事であり、34441195_1776677995755779_177483190 それに先立つ5月21日には自見はなこ参議院議員より、国会で初めて臨床工学技士について質問と答弁が行われました。議連設立総会の翌日より神奈川県で開催された日本臨床工学会では、初の厚生労働大臣の招請が実現しましたし、11月には厚生労働省、文部科学省、人事院を交えて、役員の国会議員の先生方と議連役員会が開かれました。臨床工学技士に関わる様々な諸問題と要望を、行政と立法を司る先生方に直接お伝えする機会が実現したことは、実に喜ばしいことです。さらに昨年後半には働き方改革に伴う医師のタスクシフト(業務移管)について、臨床工学技士の名称が多方面から散見されるようになり、日臨工でもタスクシフト委員会を創設し、性急な対応を行うとともに各団体や組織に働きかけを行いました。その成果もあって厚生労働省開催中の「医師の働き方改革に関する検討会」においても多職種連携の一員として、臨床工学技士が取り上げられるようになっています。

2013年の連盟創設から昨年までの会員数の推移を図に示します。

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連盟の会員数は日臨工会員数に比し数%台と未だに低迷しており、あらゆる策を講じて会員数の増加を試みておりますが、決め手とはならず役員一同、手詰まりを感じているところです。ある程度活動の結果が見え始めているだけに、周囲の支援が乏しいのは残念な限りです。端的に数は意思を現します。臨床工学技士の未来に対する総意がこの数であると言われて反論する術がありません。一部の人間が矢面に立って熱く訴えても、総意が付いてこなければ絶対に結果も付いてきません。

 反面、昨年は各ブロックで国会議員を招いたイベントが企画されました。また、国会議員主催のセミナーに多数の参加者を動員することができました。

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多くの方々にご支援を頂くとともに、会員の意識も少しずつ変化してきていると感じられ、我々の意欲向上のビタミン剤となっています。本年は統一地方選挙、参議院選挙が重なる12年に一度の亥年です。差し当たり年度の節目となる4月前後には、全国で総会などのイベントが開催されると思いますので、行事予定をご連絡いただきイベントの企画をご相談できればと思っています。

 連盟創設以来一貫してお伝えしていることは、30年の節目を迎え臨床工学技士も転換期を迎えているということです。生活環境や社会情勢、テクノロジーの進化など想像を超える速さで世の中が変化しています。加えて昨年末の入管法(出入国管理及び難民認定法)成立は記憶に新しいですが、グローバリズムの台頭が、強烈な勢いで我々の実生活に押し寄せています。秋には消費税の引き上げも予定されています。これら一つ一つはすべて身近な日常に変化を及ぼす政策です。臨床工学技士に目を向けると先に述べた医師の働き方改革に伴うタスクシフティングは、今年より5年計画で進められ2024年から実施の予定です。周術期管理や在宅医療など幅広く医師の業務負担軽減に、臨床工学技士がお手伝いできる可能性を秘めています。その根幹となる臨床工学技士の教育改革(コアカリキュラム)の改変は来年度に予定されています。これには他業界より遅れを取っていると言われる、サイバーセキュリティー対策について組み込まれる可能性があります。

 2019年は臨床工学技士リニューアル元年。これらすべて総意で臨めばそのように変化しますし、そうでなければ現状維持のまま、いや現状維持は衰退を意味します。「打ち上げ花火で終わらせない。」議連創設の後に掲げた言葉をもう一度思い返し、成長に向けたベクトルを加速させていきたいと考えておりますので、何卒、総意を持ってご支援とご協力をお願い申し上げます。最後に皆様にとって、今年1年が過去最高に有意義な1年となりますよう心より祈念しております。

2018年2月21日 (水)

サイバーセキュリティー対策と臨床工学技士

数字は定かな記憶ではありませんが、「中国6000人、アメリカ3000人、北朝鮮700人…。国家レベルでサイバー攻撃の防衛に関わる人の数です。」自民党サイバーセキュリティーに関する勉強会の中で、ある発言者から示された数字です。さらに、「さて、日本は…。130人。これが我が国の実態です。」と述べられました。会場には驚きと不安を装う空気が流れました。記憶に新しいところで、仮想通貨の流出問題も北朝鮮のハッカーが関わっているとの報道もありました。真相を確認する術はありませんが、こういった対策で日本が立ち遅れている実態が否定できないと感じます。

一方でマイナンバー制度に代表される、ビッグデーターの形成と2次利用への流れは各業界でとめどなく進行していて、AIなどを応用した第4次産業革命への展開には大きな期待がもたれています。“がん撲滅元年”とも言われる今年を迎えた背景には、間違いなくコンピューターの処置能力の進化とビッグデーターの形成があると思われます。しかし、保険医療分野は、個人情報も含め非常にデリケートな内容が含まれており、安易な患者情報の紐付やクラウドなどの集中管理によって発生するリスクも懸念されています。医療保険が民間で運用されているアメリカでは被保険者の情報が早くから一括管理されており、病気の重症度に応じた保険料の徴収を分析するなど、極めて合理的に利用されている実態があるそうです。

「我が国はバラバラだからこそ、市場第一主義の外圧に対する守備としてはかえって好都合。まとめてつなげばあっという間にアメリカに持って行かれ、国民皆保険は崩壊する。」との発言が印象的でした。何をやってももろ刃の剣。メリットが得られる一方で必ずデメリットやリスクが発生するように仕組まれているのは、やはり神の仕業でしょうか。

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さて、以前より“臨床工学”という国家の称号を頂いている我々として、名前だけで言うと医療業界で最も関わるべき立場と言っても良いと思っています。もちろん、実力が伴っていないことは重々承知していますし、情報の全てが失われるリスクを考えると責任も重すぎます。日々進化するサイバー攻撃とその対策は、国家レベルの選りすぐられた頭脳集団でないと対応不可能です。ただ、冒頭で述べた国家レベルの130人の集団を目指そういう事ではありません。
例えばスマートフォンなどの端末一つ考えても、セキュリティーを担保するためには、接続用の専用端末が必要となり、個人の私物などを利用すると格段に安全性は損なわれます。なぜ安全性が損なわれるのか?その違いが解らない人が医療従事者にも山ほど居ます。それを説明し安全な使用方法を導くだけでも十分に貢献できます。日本年金機構の個人情報漏洩問題にしても、記憶に新しい仮想通貨の流出問題にしても、メールに添付されたファイルをうっかり開いたり、繋いではならないネットにつながっていたり、技術的な問題よりも人的に関わるものがほとんどです。

要するに実用レベルの運用をお手伝いすれば良いのではないでしょうか。奇しくも私自身、病院情報システム管理者の責務を担っており、日常的に情報漏洩やセキュリティーを含めたシステム全体の管理を行っていますが、最も大きな不安要素は、浅はかな知識を持った人によって下される、安易な判断なのです。

実運用レベルというお話となれば、何と言っても数が必要です。確かに2000年問題とは重みが違いますが、実運用レベルなら望みは持てないでしょうか。代わりに誰が、どこがやってくれるのでしょうか。他団体が実働部隊となった時、後悔の念を抱くことは無いでしょうか。臨床工学技士の未来を想像して皆さんで決断してください。

2018年1月19日 (金)

年頭所感2018

あけましておめでとうございます。戌年の2018年、株式相場格言は「笑う」だそうで、最初の取引となる大発会を迎えた4日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅に反発し、大発会としては1992年以来、26年ぶり水準での取引開始となりました。株をやらない人には無縁のお話ではありますが、今年こそは元気な犬のように躍動する年になるよう期待したいところです。激動の世界情勢は北朝鮮問題をはじめ本年も落ち着く気配は無く、なんとかバランスを維持して行くことを願うばかりで、国内に目を向けると大きく立ちはだかる少子高齢化の問題は、2025年問題として大きく取り上げられつつも、その対策においては決定打を欠き、人口減少問題を加わってどうしても将来を不安視してしまわざるを得ません。

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 ただ、需要と供給という面から捉えますと、主に消費する(生産性の乏しい)高齢者と供給する(生産性の高い)若年層という構図ともなり、社会全体でみると人口減で総需要自体は減るものの、バランスとしては高齢化に伴い前者にウエイトがシフトすることになるため、供給不足が進行し人手不足になると予想がされており、事実昨年末からその兆しが現れてきています。人手不足となれば企業は人材確保のために賃金を引き上げることになり、それに応じて販売・サービス価格も上がり、インフレへ向けた好循環となる、少子高齢化現象はデフレ脱却の格好の材料!と説く経済学者もおられます。とりあえず未来の予想図は明るく夢がある方がいい。小生に経済学の知識はありませんが、まずは明るい未来の方を信じて、楽な気持ちで今年1年を過ごしたいと考えています。


 年齢と言えば、我が臨床工学技士の平均年齢は他の医療職種に比べて著しく低い!(即ち若い!)。昨年6月に福岡県で講演された自見先生が参加者の圧倒的な若さに驚いておられました。如何に日頃は主にご年配の方を対象にお仕事されているかが解ると同時に、小生が数々参加した政治パーティーも然り、圧倒的にご年配の方が多く、小生(本年55歳)でも最も若い部類に入るのです。会場の空気は色に例えると言うと若葉と紅葉といった感じしょうか。ここまで政治参加が少なくては民主主義のわが国で、若者の意見が反映されるはずがありません。明るい未来を考えるとき、当事者となる若者自身が自分たちの将来ビジョンを創造し実行して行かない限り、ご年配の方にのみ住みやすい社会が形成されることでしょう。少子高齢化が訪れることは数十年前から判明していたにも拘らず、放置されてきた現状を直視すべきです。

 そういう意味では臨床工学技士の年齢のほとんどがこれからの社会を担う世代で構成されており、間違いなく未来を創造すべき立場にある人たちだということです。われわれの集団は夢を創ることのできるエネルギッシュなパワーを持った集団ということです。他の職能団体と比較してもその違いは明らかで、最も可能性を秘めているといっても過言ではありません。しかも「臨床工学」という広い解釈で定義されており、手術室・内視鏡・集中治療から在宅・遠隔医療や医療情報など幅広く業務をカバーできる立場にあります。ある新年互礼会で横倉医師会長にお会いした際には、AIやロボットが進化する時代に臨床工学技士への大きな期待を述べておられました。具体的な業務実態をご存知なくても、「臨床工学」と聞けばそういう連想となるのは当然だと思います。さらにアジア各国をはじめ、諸外国も医療機器に特化した国家資格である臨床工学技士に注目しており、指導者や資金などの供給不足が表面化している実態もあり、我々に十分な伸び代があることを感じさせられる具体例です。

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 いつやるの?今でしょ!少々古いフレーズとなってしまいましたが、これらの課題を解決するには個人では不可能です。まとまりを持った集団としてより多くの人が賛同する民意として、政策に反映されるよう訴えていかなければなりません。昨年の漢字1文字を「微」とし、火にかけた鍋のお湯から微かに気泡が発生している状態を例えました。全国都道府県技士会様のお力によって会員数も着実に増えてきております。今年はぐらぐらと煮えたぎるところまで進め、戌年に相応しく飛躍する年になればと思っています。兎にも角にも、皆様のご協力によってのみ活動が成立する団体です。本年も引き続き温かいご支援をお願いすると共に、より多くの賛同が頂けるようご協力と拡散をよろしくお願いいたします。

2017年11月 6日 (月)

現状維持

第8回関東臨床工学会が開催されました。年々参加者も増えて都道府県同士の意見や情報の交換がなされ、確実にqualityが向上していると感じらるようになれました。これも山下先生始め関係者の地道な活動の積み重ねの成果だと思われます。連盟にもここ数年啓発のセッションを設けて頂いておりますが、過去最大の参加人数を賜り大変ありがたいことだと思っております。パネルディスカッション「10 年後の臨床工学技士~「今」動かないとどうなるか…?~」は、誕生から30年を迎えた臨床工学技士が、昨今の社会や医療の情勢やを背景に今後どう対応を整えて行くかについて議論が交わされました。

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冒頭、次世代を担う若者に対して「将来の夢」を質問する展開となり、いきなり振られた若者は思わず「現状維持で…」と回答され、それ以降はテーマ自体が”現状維持で良いのか?”という雰囲気に会場が変化してしまいました。(回答した若者には若干気の毒でした。)

「現状維持」は衰退。世の中には成長と衰退の2通りしかない。

ごもっとだと感じます。世の中は激しい競争社会の波に揉まれていて、時代の変化に対応できない場合、企業においても姿を消してしまわなければなりません。国際社会も同じで外資の大企業が国境を越えてどんどん攻めてきていることを、日常生活でも実感されることと思います。メガプラットフォームが世界を席巻すると言われ、GAAF(ガーフ:google、apple、amazon、facebook)と呼ばれるたった4社が、世界中の情報インフラを牛耳るかもしれないとまで言われます。日本企業の名前が見かけられないのはさみしいことだと感じます。医療介護は人手不足が心配され、その補充には低賃金の外国人労働者、それをつかさどるのはGAAFとなれば、我々の居場所が脅かされるのも時間の問題かもしれません。どうしても話は暗い方向に行ってしまいがちですが、そうで無い環境を創るには「現状維持」を否定せざるを得ません。最低でも成長した結果、現状が維持できたとしたいところです。

ディスカッションでは若者代表からの発言もありました。
「なんとか協力したいけど何が出来るのか。連盟会員に登録することくらいしか思いつかない…。」
それだけで十分です!ただより多くの賛同者が必要です。知人友人・家族や親戚まで引き連れて臨床工学技士の将来を一緒に創造して行きましょう!とは言いましたが、昨今気になったメディアを2つ。

「民衆の敵」…世の中おかしくないですか!?…

なぜスウェーデンは政治に関心がなくても投票率が80%を超えているのか?

根本的に「国民主権」をはき違えている日本人を痛感します。思いっきりざっくりとまとめると…
・何事も、他人に協力するのではなく、自分から進める。
(会費を取って何してくれるの?ではなく、会費を頂戴!私がするから。)
・ルールは守るものではなく、日々検証するもの。
(規則をただ守るだけの日本人。規則の改善を常に考えるスウェーデン人)

現状維持を打破するきっかけとなれば幸いです。

2017年11月 2日 (木)

根拠となるデータ

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連盟で行われたアンケート「今、もっとも実現したい要望をひとつだけ選んでください」に対して、103人の方に回答いただきましした。その結果はこちら

さて、これを実現するには具体的にどのような活動を行えばよいのでしょう?
「あれ欲しい!」と言っただけで買ってくれるほど親は甘くありません。財布の中身は限られていますし、その他の兄弟にも欲しがっているものは沢山あるのです。子供たちが欲しい!と要求する複数のものから財布の中身と相談し、本当に必要なものを選別して場合によっては要求を排除しなければなりません。(小池都知事、衆議院総選挙お疲れ様でした。)子供たちを納得させるには理由が必要です。理不尽や偏った買い物は家族の中で不協和音を起こしてしまいます。要求する子供からすれば、納得させられるだけの理由を親に提示しなければなりません。税金の使い道を家庭に例えてお話しました。考えてみれば当たり前のことです。国に対して、ただ“欲しい”と訴える駄々っ子では要望も受け入れては貰えません。

診療報酬を獲得するための道筋は参考資料に掲載されていますが、学術研鑽を目的としている多くの学会も実績を数値化して、報酬と言う評価につながるよう要望提出しているのが実態です。特に昨今は単なる治療効果だけでなく、医療経済との相乗効果が加味されている事が評価されるポイントのようです。蛇足ですが、この背景には人口減少と少子高齢化によって国の財政がひっ迫している状況が影響しています。新たな経済成長を生み出し、分母となる税収が増えるような状況となればまた違った展開になるのかもしれません。これがいわゆる「デフレ脱却」です。我々臨床工学技士も新たな経済を生み出す成長戦略を、医工連携などを通じて創造することが期待されます。これまで、臨床工学技士の業務を牽引してきた、人工透析(血液浄化)や人工心肺の症例数はプラトーに達し、今後下降に転じることが大方の予想です。未来を予測しそれに対応しうる準備を早めに整えておく必要があります。今まさにその転換期に足を踏み入れている状態だと感じます。

ご存じのように、国は税と社会保障の一体改革を進めており、その中で一般病床の病床数の削減を図るとともに、地域包括ケアを推進しています。誤解を恐れず言うと、ご年配の方は病院では面倒見ることができないので地域ぐるみで見守って下さい。ということです。需要の場面がシフトすれば供給側もそれに対応するのは当然であり、他の医療職能団体も様々なビジョンを掲げています。代表的なのは「特定看護師の研修制度」です。なかなか実態が伴っていないようですが、急性期から在宅まで、将来を見据えた未来志向の展開を行っていることは間違いありません。我々臨床工学技士も、今後在宅医療(遠隔医療)への展開を見据えて、昨今話題となっている医工連携を活用した方向へシフトする必要があると考えます。

要望を実現する為に満たされるべき条件として以下の3点があげられます。
1.効果が期待できる根拠となるデータが揃っていること
2.医療経済的にメリットがあること
3.導入後の恩恵が一部に偏った隔たりのないこと。
今、要望を実現したいとき、まずは1.の根拠となるデータが揃っているか?を検討し、そこから次へと展開しなければなりません。現在、日臨工の統計調査委員会とも連携を強化し、根拠となるデータ作りに注力しているところです。交渉する上において材料は必須であり、銃で戦うには銃弾が必須です。戦いに例えるのは適当ではないかもしれませんが、現在十分な実弾が整っているとは言い難い状況だと考えます。皆様の積極的なご協力をお願いします。

2017年9月29日 (金)

臨床工学技士議連創設に向けて

今回の面談の主な目的は「臨床工学技士議員連盟」創設メンバーの人選を検討することでしたが、解散総選挙が行われることになったため、選挙後に改めて機会を設ける事となりました。本題が先送りとなりましたが、面談は予定通り開催されたため、性急なお願いにも関わらず、皆様にご協力頂いた資料を元に作成した要望書が役立ちました。

特に国公立大学への養成学科新設について興味を示され、関係省庁と面談の機会を設けると提言されました。文科省内でも国公立大学再編の動きがあり、追い風を捉えることが出来る可能性があるとも言われました。その他の要望はお金にまつわることがほとんどであるため、年末に行われる税制改正の場面で要望するよう助言されました。高度医療や在宅医療、立ち合い問題や超音波診断装置の操作など多岐にわたって臨床工学技士の実態と必要性をお伝えすることができ、興味深く拝聴されておられました。

他の医療職種にも言及され、薬剤師や柔道整復師の内情や今後の展望など、大変参考になるお話を伺うことが出来ました。結局、民主主義国家である限りより多くの人が賛同する意見を優先するのは当然の事であり、政治家としてもより多くの人からの要望を受け止め、それを推し進めることが使命であるとの事でした。

すなわち、「まとまりが全て。」

内部分裂や組織率の低下が足かせにならぬよう足元をしっかり固めて一体感を形成するようアドバイスを頂きました。また、臨床工学技士の対業務従事者の組織率が高いことを評価されていました。解散総選挙で先行き不透明な部分はありますが、一歩前進したと考えてえて良いと思います。

当然、今回の選挙対応も重要になってきますので、各位で情報を収集し準備を整えて下さるようよろしくお願いいたします。

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2017年9月 8日 (金)

概算要求

来年度の概算要求が政府より発表されました。

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一般会計の総額は4年連続で100兆円の大台を突破し、要求額が最も大きかったのは厚生労働省で、高齢化で医療や介護、それに年金などに充てる「社会保障費」が一段と膨らむことから、今年度の当初予算を2.4%上回る31兆4298億円を要求しました。と掲載されています。国家予算の約3割を我々と関係の深い厚生労働省が占めている計算となります。厚労省の予算概算要求のポイントで我々に主に関連する部分は2番目の「質の高い効率的な保健・医療・介護の提供の推進」となります。 また、記事にもあるように北朝鮮問題を背景に防衛相の予算要求が増えていることも注目すべき点です。各省庁からの要求額は財務省のホームページに一覧として掲載されています。

これらの要求額に対してそれを満たすための収入はどこから発生するのでしょうか?同じく財務省の資料を見てみると、6割が税収、3割がいわゆる国の借金と言われる国債で賄われています。つまり、収入の大部分は国民から徴収する税金ということになり、私たちが労働をした稼ぎの一部で公的扶助を中心に国民の生活を支えていることになります。すなわち、しっかり労働して生産力向上をすれば、稼ぎが増えるとともに税収も増えることになり、国も国民もウィンウィンの関係を築くことが見えてきます。その国全体の生産力を示す指標がGDPです。こちらの図では日本がバブルがはじけた頃から、GDPの伸びが著しく鈍化していることが解ります。
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これが、巷で言われるデフレの正体です。

国をあげてデフレ脱却を目指し、様々な政策が試みられていますが、未だ出口は見えません。少子高齢化が足かせになっている事は否めませんが、ではどうすれば解決の道が開けるのか?政治家の政策を批判するのは簡単ですが、豊かで安心できる未来への方策は極めて困難なことであり、一人一人が真剣に取り組まなくてはならないと思います。不倫報道などのスキャンダルで賑わっている場合ではないと思うのですが如何でしょうか?

概算要求から来年の年度末までに予算成立へ向けて、国会では激しい?論戦が行われます。言い方は不適切かもしれませんが、各省庁による同じパイの奪い合いです。約100兆円の予算からあらゆる資料と根拠を駆使して、各々の要求を獲得するために奮闘します。こうして考えると大変不謹慎ですが、イベントで開催される試合にも思えてきます。違う角度から見てみますと、「政治とは私たちが国家や社会について重要と考えるものを、優先順位をつけて決定すること」と、総務省の”高校生向け副教材「私たちが拓く日本の未来」について”にも明確に記載してあります。

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やはり、集めた税金の使い道を決めるところが、国会と言っても過言ではなさそうです。

さて、いつものように前述の観点から臨床工学技士のことを考えてみましょう。国民皆保険が基本的ベースとなっている医療・介護において、その環境下で業務を行う臨床工学技士の費用や報酬は国家予算の中で賄われることになります。全体の3割を占める厚労省の歳出、その中の社会保障、その中の医療・介護、さらに医療の中の医師の手技料、看護師の看護必要度など、どんどんミクロ的に考えていくと最終的には個人レベルに到達することが理解できると思います。「同じパイの奪い合い」は当然ここでも発生しており、同じ医療職の職能団体だから国民の医療や安全に貢献しているからと、温情を受けられるほど甘くはありません。きれいごとではなく、どこの団体も自身を守るために様々な努力をしているのです。

バブル崩壊後のGDPが伸び悩む中で少子高齢化が進み、税と社会保障の一体改革が政策として施される現状において、来年は医療と介護の同時改定が行われ(通称30改定)、どのように配分が行われるか大きく注目されます。他団体が前向きに取り組みを進める中で、臨床工学技士にもまとまった力が必要です。今一度自身を振り返って起こすべき行動について検討されることを望みます。

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