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2016年7月

2016年7月16日 (土)

10年後の臨床工学技士を想像する。

「少子高齢化社会」 この言葉を知らない人はいない。

社会構造や人口構成の変化で漠然と将来に不安を抱えている人も多い。2025年問題とは、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、人類が経験したことのない『超・超高齢社会』を迎えることである。国(政府)の最も重要な使命は国民の命と健康を守ることであり、経済成長が伸び悩む中で社会福祉との両立を達成する極めて困難な課題に取り組んでいる。これがいわゆる「税と社会保障の一体改革」である。医療や介護は渦中のど真ん中にあたり、主に税金で賄われるこの問題は、医療従事者にとって目を背けることのできない重要な課題である。政府は介護保険の施行に始まり、DPC(診療報酬の包括化)やジェネリック医薬品の推進、入院基本料の改定や病床数の削減、そして在宅医療の普及を目指した地域包括ケアを推進しており、我々臨床工学技士にとっても現在就業している一般病棟や手術室、クリニックなどの環境が大きく変化することが想定される。

このような取り組みを行う政府は臨床工学技士の事をどのくらい知っているのであろうか。生命維持管理装置など高度医療機器の操作や保守点検を行い、医師の手助けを行い医療安全に貢献していることを知っているであろうか。地域包括ケアを推進する上において医療機器が不可欠であり、工学的専門技術を学んだ技術者の存在が必要であることを知っているであろうか。経済成長を促すために品質の高い日本の医療を海外へパッケージで輸出する、医療機器産業ビジョンの力になれることを知っているであろうか。政策を決定する機関である政府が存在すら知らない状態では改善の期待はできない。

先般、その政策を議論するための代弁者を選出する参議院選挙が行われた。医師、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師の各候補者は代弁者を選出することに成功した。診療放射線技士と臨床工学技士は失敗した。得票数の解離は著しく、この結果は脆弱な組織力と危機意識の欠如と言わざるを得ない。

現在課題となっている人口減少や少子高齢化社会は一朝一夕で成立するものではなく、高度経済成長期から少子高齢化社会を危惧する声は聞かれていた。政府が掲げた様々な政策は先延ばしされたものが多く、なるべくして現在の状況になったとも言えなくはない。現在の臨床工学技士の年齢構成は日本の高度経済成長期の人口年齢構成にとても似ている。同じ道を歩まないことを希望する。

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