« 2016年10月 | トップページ | 2017年1月 »

2016年11月

2016年11月22日 (火)

公明党厚生労働委員会 平成29年予算税制に関する要望

本日はこのような機会を与えて頂き誠にありがとうございます。我々臨床工学技士は医師の指示の元生命維持管理装置の操作、及び保守点検を業とする国家資格として1987年に誕生しました。桝屋先生はじめ公明党の先生方には、2002年の公益法人制度改革という逆風の中での法人創設、前々回の診療報酬改定においてと特定集中治療管加算の施設基準に臨床工学技士を明記して頂くなど、多大なご尽力を賜りこの場をお借りして心より御礼申し上げます。

昨今、医療現場において医療機器は無くてはならない存在となっております。手術室や集中治療室など使用される高度で複雑な装置だけでなく、介護や在宅の場面においても血液の酸素飽和度を測定する簡易的な測定器から、在宅人工呼吸器など生命に直結するものまで幅広く浸透しています。しかし、その医療現場において、医工学の専門知識を学んだ臨床工学技士が十分に生かされていません。医療機器産業ビジョンや地域包括ケアなど、医療経済においても少子高齢化社会の場面においても、臨床工学技士を十分にお役立ていただくため本日お願いに上がりました。 

我々は臨床工学技士を国民医療にしっかりと活かしていただくため、質の向上、数の確保、意欲の担保という3つの目標を掲げています。まず、一つめの「臨床工学技士を活用した医療の質の向上」についてお話しします。

現在活躍している他の医療職種と比べ比較的新しい臨床工学技士ですが、国家資格でありながら国公立大学に養成校が一つもありません。国から学費の補助があって負担の少ない教育機関に優秀な人材が流れていくことは必然であり、臨床工学に志を持っている人材がそれを理由に断念する事例が散見されています。(実は私の息子もそうでした。)品質の高い日本の医療と、同じく日本の得意技である“ものづくり”を融合した医工学の分野は、地方創生の手段として全国各地で注目されている成長株です。世界に羽ばたく優秀な臨床工学技士を育成するため、国公立大学へ養成校の設立を要望させていただきます。

次に医療機関や在宅で使用される医療機器の実態把握を掲げておりますが、実は昨今の医療現場においても、メーカーや業者による労務の無償提供という悪しき習慣が、医療機関ではまだまだ蔓延っています。手術や治療に関わる医療機器の無償貸し出しと引き換えに労務の提供を行い、下手をするとそれが医療行為にまで及びます。明らかな医療法の抵触であり、装置や消耗品売買の癒着の温床となりえるケースもあります。また、在宅医療機器に関しては在宅指導管理料の診療報酬が医療機関に付与されているにもかかわらず、患者が一旦在宅に戻されると、業者に丸投げの状態になっています。保守点検などの安全管理も業者にゆだねているのが現状です。さらに、在宅で使用する医療機器の中でも、生命維持管理装置でありながら構造的な災害対策が取られていません。これらを是正する対策をとるためには、まずは現在の実態把握を行う必要があるため、在宅で称される医療機器の実態把握に関する支援制度の設置を要望します。 

二つめは「ニーズに応じた臨床工学技士の数の確保」です。臨床工学技士は保助看法の一部を分け与えた貰った経緯から、看護師が行う血圧・脈拍などのバイタルチェックや簡単な介助など直接患者に触れる医療行為が可能です。その業務範囲を行う中で、手術室においてはダヴィンチに代表される高度複雑な専門性の高い装置だけでなく、内視鏡手術装置や各種モニタリング装置など多種多様な医療機器が存在し、まさに現場は機器だらけです。このような状況下で医師は手術に集中し看護師はケアに集中する環境を整える為に、患者と装置とを包括的に支援できる臨床工学技士が最も有用な存在となります。機器にトラブルはつきものであり、万一の際にも速やかな回復図るために大いに貢献します。機器のトラブルに対する速やかな回復は、介護や在宅の現場でも同様で、医師不足、看護師不足を補うと同時に医療安全の確保に対しても需要が拡大しているのが現状です。

別紙1に在宅医療の体制構築に関する指針の資料がございます。きめ細かく配慮がなさておりますが、機器トラブルに対する安全対策が抜け落ちているように感じられます。別紙2に示す通り、平成276月には遠隔モニタリングの推進として、規制改革に関する第3次答申が閣議決定されておりますが、心臓ペースメーカーや在宅呼吸療法はまさに臨床工学技士の十八番であり、患者と装置の両方をサポートできる臨床工学技士は実に有用な存在であると考えます。海外に目を向けてみますと、先日当会の会員がJICAに訪れた際、日本製の高度医療機器が使用されないままゴロゴロと放置されている現状を目の当たりにしたそうです。その理由は保守管理者がいないことです。我々から見れば実に簡単なフィルター交換や、少し踏み込めば行える機器の設定が行われていないため、折角の日本の優秀な医療機器が無駄になっているのです。ご存知の通りアジアでの市場は大きく、医療機器分野はまだまだ成長の伸び代を持っており、我々臨床工学技士は政府の成長戦略でもお役にたてると意気込んでいます。また、第4次産業革命が進展する未来において、AIと呼ばれる人工知能が進化する時代となっても、メンテがなくなることはあり得ません。

人工透析患者30万人以上、全国4000以上の透析施設においても臨床工学技士の施設基準は未だに設定されておりません。是非とも臨床工学技士の需給計画及び人員配置基準に関する検討会の設置、医療介護総合確保促進法と医療機器産業ビジョンでの臨床工学技士の活用をご検討いただきますようよろしくお願い申し上げます。


 最後に「未来へ継承する臨床工学技士の意欲の担保」についてです。なんといっても評価が無ければ人の意欲は増しません。別紙3に人事院勧告の医療職棒給表、階級別職務表を示します。この一覧表に臨床工学技士の名称が明記されておりません。そのことがきっかけで、国公立病院に係わらず、これを参照する一般病院にも影響を及ぼしており、いわゆる冷や飯を食わされる状況が散見されています。厳しい財政であることは重々承知しておりますが、少なくとも同じ教育単位を消化して取得した国家資格とは同等に扱って頂くようお願い申し上げます。別紙4に臨床工学技士に付与された臨床報酬の一覧を示しますが、他の医療職種に比べ圧倒的に少ない現状です。しかもすべて主項目に付随した加算という対象であり、臨床工学技士自身の業務に対して付与されたものはありません。実は先日の熊本地震で公的病院が崩壊したことにより、職員を解雇せざるを得ない状況が発生しております。診療報酬の手薄な臨床工学技士がその対象となり、現在は友人の紹介による他の病院で、嘱託として勤務している状況となっています。

 以上、来年で国家資格誕生30年目を迎える臨床工学技士からのお願いを述べさせていただきました。質の向上、数の確保、そして意欲の担保、国が必要と定めた国家資格である臨床工学技士の育成と環境整備に、ご高配賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

« 2016年10月 | トップページ | 2017年1月 »