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2018年2月21日 (水)

サイバーセキュリティー対策と臨床工学技士

数字は定かな記憶ではありませんが、「中国6000人、アメリカ3000人、北朝鮮700人…。国家レベルでサイバー攻撃の防衛に関わる人の数です。」自民党サイバーセキュリティーに関する勉強会の中で、ある発言者から示された数字です。さらに、「さて、日本は…。130人。これが我が国の実態です。」と述べられました。会場には驚きと不安を装う空気が流れました。記憶に新しいところで、仮想通貨の流出問題も北朝鮮のハッカーが関わっているとの報道もありました。真相を確認する術はありませんが、こういった対策で日本が立ち遅れている実態が否定できないと感じます。

一方でマイナンバー制度に代表される、ビッグデーターの形成と2次利用への流れは各業界でとめどなく進行していて、AIなどを応用した第4次産業革命への展開には大きな期待がもたれています。“がん撲滅元年”とも言われる今年を迎えた背景には、間違いなくコンピューターの処置能力の進化とビッグデーターの形成があると思われます。しかし、保険医療分野は、個人情報も含め非常にデリケートな内容が含まれており、安易な患者情報の紐付やクラウドなどの集中管理によって発生するリスクも懸念されています。医療保険が民間で運用されているアメリカでは被保険者の情報が早くから一括管理されており、病気の重症度に応じた保険料の徴収を分析するなど、極めて合理的に利用されている実態があるそうです。

「我が国はバラバラだからこそ、市場第一主義の外圧に対する守備としてはかえって好都合。まとめてつなげばあっという間にアメリカに持って行かれ、国民皆保険は崩壊する。」との発言が印象的でした。何をやってももろ刃の剣。メリットが得られる一方で必ずデメリットやリスクが発生するように仕組まれているのは、やはり神の仕業でしょうか。

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さて、以前より“臨床工学”という国家の称号を頂いている我々として、名前だけで言うと医療業界で最も関わるべき立場と言っても良いと思っています。もちろん、実力が伴っていないことは重々承知していますし、情報の全てが失われるリスクを考えると責任も重すぎます。日々進化するサイバー攻撃とその対策は、国家レベルの選りすぐられた頭脳集団でないと対応不可能です。ただ、冒頭で述べた国家レベルの130人の集団を目指そういう事ではありません。
例えばスマートフォンなどの端末一つ考えても、セキュリティーを担保するためには、接続用の専用端末が必要となり、個人の私物などを利用すると格段に安全性は損なわれます。なぜ安全性が損なわれるのか?その違いが解らない人が医療従事者にも山ほど居ます。それを説明し安全な使用方法を導くだけでも十分に貢献できます。日本年金機構の個人情報漏洩問題にしても、記憶に新しい仮想通貨の流出問題にしても、メールに添付されたファイルをうっかり開いたり、繋いではならないネットにつながっていたり、技術的な問題よりも人的に関わるものがほとんどです。

要するに実用レベルの運用をお手伝いすれば良いのではないでしょうか。奇しくも私自身、病院情報システム管理者の責務を担っており、日常的に情報漏洩やセキュリティーを含めたシステム全体の管理を行っていますが、最も大きな不安要素は、浅はかな知識を持った人によって下される、安易な判断なのです。

実運用レベルというお話となれば、何と言っても数が必要です。確かに2000年問題とは重みが違いますが、実運用レベルなら望みは持てないでしょうか。代わりに誰が、どこがやってくれるのでしょうか。他団体が実働部隊となった時、後悔の念を抱くことは無いでしょうか。臨床工学技士の未来を想像して皆さんで決断してください。

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